はじめに

 このAbout Dsignは、現在穴吹デザイン専門学校において「空間論」の講義が主内容です。

 建物やそのインテリアは個人の意思に関わらず、社会生活に於いて毎日接せざるをえないものです。
朝起きれば自分の部屋、家を出れば地域の建物や街並みに触れています。
それらは、無意識のうちに人々に色々な心理的影響を与え続けています。
建物は、人々の生活や仕事を促しもすれば妨げもします。

例えば、ある病状の人が良い建物・インテリアの部屋では早く回復し、
逆に悪い部屋では遅くなるという事例があります。
あなたは、家の中で長く滞在したい部屋と、あまり入室したくない部屋はないでしょうか。
そこでは、勉強や家事、仕事がはかどるでしょうか。

建物やインテリアがつくる空間は、人々の創造力を掻き立てる力があります。
よい建築、インテリアで過ごすかどうかは、一生の幸不幸を左右してしまう要因の1つといっても過言ではないでしょう。

 建物をただ設計するだけではなく建築として、そしてインテリアとしてデザインすることが望まれます。 デザインが、いかに人々に無意識に安らぎや幸せを与えられるかが大切です。
これこそ「建物」を「建築」へと昇華させることに繋がります。

 建築、インテリアと他の芸術との違い。

建築、インテリアは、絵画や彫刻といった芸術とは違う楽しみ方があります。
静止の状態で楽しむ事が主になるそれらとは違い、動的に楽しむことが出来ます。
外観の見た目も大切ですが、建築的体験の素晴らしさは、主に内部空間にあります。
「低い」から「高い」、「狭い」から「広い」、「暗い」から「明るい」へ。
空間から空間へ流れるように空間のコントラストを鑑賞することができるのです。
つまり空間を感じさせることによって感動や安心を与えられるのです。

 建築、インテリアは楽しいものです。
そしていつでも人に対して無意識に心理的影響を与え続ける大切なものです。
芸術ではなくとも芸術的美意識や創造力は大いに必要です。

 このAbout Designは、どちらかといえば専門家の人ではなくデザインに興味がある一般の人、 或いは、これから建築やインテリアの勉強をしたいと考える人達に向けています。
専門家から見れば、当たり前の内容も含まれていることでしょう。
また私個人の偏見があることも否めません。
しかし、本文によって少しでも「デザイン」に対して興味を持っていただけたなら、この上ない喜びであります。